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The Spectrum of Pleiades

創作やゲームについてのアレコレをまったり更新する水月昴のつぶやき集

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Pangaea phase1 part1  

さて、GENESISがやっと1話を終えてオープニングとなったところですが、
実はGENESISは3部作構成の中の2作目という位置づけでして、
ストーリーが自分の他のオリジナル小説と繋がっています。
1作目Dimension of the Time、2作目GENESIS-The Next Endeavour-、
そして3作目がこのPangaea -Melody in the Future-です。
全て同時並行して執筆中です(^^;
どちらかというとPangaeaの方が新しいです。
そんなわけで、GENESISが一区切りついたところで、
Pangaeaを少し体験版みたいな形で最初の部分をあげておくことにします。
PangaeaはGENESISの続編の扱いで、時系列的にはGENESIS完結の後のお話です。
世界観や概念を重視したGENESISは、
堅苦しくて読み手に対する配慮がイマイチ欠けているのが反省点でしたので、
Pangaeaはややキャッチーな感じにしてあるので多少読みやすくなってると思います。
ちなみにPangaeaはパンゲアと読みますです。
最後の方に暫定キャラクタープロフィールも載せときます。

Category:Pangaea

>>Pangaea [phase1 -part1-]
Pangaea

out phase ―Melody in the Future―

未来が見える人なんていない。
今から3ヶ月と12日を経た、その日の午後3時20分頃に人身事故で命を落とす人がいたとして、
それをその人が今知ることなどないだろう。
我々にとって未来は常に不確定だ。
それは近かろうが遠かろうが変わらない。
そんな不確定な世界の無限の可能性の果てに、唯一絶対性を得て今の我々はここに立っている。
そんな不安定な時の流れの果てに、今の我々は目の前の暗闇に眼を凝らしている。
その闇を抜けたとき、未来の我々は何を手にしているのか。
或いはそれを知る事が出来るのは、誰よりも過去、そして今が見えている人なのかもしれない。
次の瞬間、自分は一体如何なる姿で、如何なる役割を与えられるのだろうか。
背後からさす微かな光を頼りに、其の暗闇に手を伸ばす。

Dimension of the Time
過去の過ちを忘れないように。
GENESIS -The Next Endevor-
現在の自分を忘れないように。
Pangaea -Melody in the Future-
未来の希望を忘れないように。
人々は模索する。
いずれ手にするであろう希望のカタチを。
We are flying to heaven to find peace of mind.
We are leaving the world behind.

phase 1 ―二人の天才―

彼は通路脇の手すりに寄りかかりながらため息をついた。
「……いつまで待たせる気だ、あいつ」
少し長めのストレートの黒髪を持つ少年の気だるげな瞳は、暗い深紅の輝きを宿していた。
彼は首元を少し開かせた白いYシャツと、紺と言っても良い程暗めの蒼いスラックスを着用し、
スラックスと同じ色のブレザーを羽織っていた。
ブレザーとスラックス同様の色をしたネクタイも少し緩めに締めている。
この街の外れに有名な高校があり、多くの男子生徒は制服をそういった形で着用している関係で、
この街ではいくらでも目にすることが出来る姿だ。
けれど、それだけありふれた姿でありながら、学校の関係者なら彼を一目見て反応する者も少なくない。
その筋ではちょっとした有名人といったところだ。
燈炎山拓徒[ヒエンザン・ヒロト]、それが彼の名だ。
「そもそも、大幅に遅刻する人間を待ってやる義理もないのに、
何だって俺は律儀に待ってんだ……」
いい加減行ってしまおうかと重い腰を上げたとき、ふと目の前を通る女子学生に目が行った。
彼女は少年と同じ服(強いて違いを言うならズボンが青と白のチェック柄をしたスカートになってるぐらいだ)を着ているところからして同じ学校の生徒だろう。
ネクタイが緩んでるわけでもないので着付け方は大分異なるのだが。
それを見ると、きっと彼女は真面目な人間なのだろう、と思わせる。
後ろ髪は背中まで届くくらい長めで、その少し青が強いスカイブルーは幻想的にさえ見える。
体格は小柄で顔の輪郭も少し幼さを残した風にも感じられるが、
整った顔立ちと表情が相まって決して幼いイメージを与えない。
彼女に目が行ったのは、そういった隙のない見かけに反して
何もないところで平然と躓いてみせたからだ。
「わゎっ」
自分が躓いたことに事後的に気付き、少し慌てたような声を出しながら体勢を立て直した。
そこで不意に彼女と、彼女を見ていた少年の目がばっちり合った。
「あ……」
ちょっとした気まずさの中視線を逸らそうと思っても、
何故だか見つめてしまった事が逆に彼女を追い詰めてしまったのだろうか。
彼女は恥ずかしそうにはにかんだ後、走って学校へ向かっていってしまった。
(不思議な子だな。コケるほどトロそうな感じには見えなかったが……)
更に不思議な事には、彼はどうも彼女に既知感を覚えていたのである。
「誰――」
「うぉーい、ヒロおぉぉぉぉ!」
だったんだろ、と言い終る前に大声を上げてこちらに走ってくるターゲットことバカ約1名が思考を遮る。
「……遅い」
「ぜぇっ、ぜぇ、はぁ、えほっ、げほっ!」
返事の代わりにとてつもなく荒い息遣いが帰ってきた。
大分必死だったらしい。
「はぁ、はぁ、わ、わるい……」
いつもはワックスでツンツンにしてまで気にするヘアスタイルも、
全力疾走の最中に大きく崩れてしまったようで、見た目的には実に哀れだった。
「一応遅れた理由を聞いてやる」
「そ…その……昨日さ、念願の『時雨』の最新作がよーやく手に入ってさ、
超気合入れて攻略してたら朝寝坊しちまったんだ。
悪かった、お詫びに今度お前にも貸してやるよ、マジ良作だぜ、アレ。
特に中盤あたりから登場す――」
「散れ」
「げはぁあっ!?」
しばらくは止まりそうになかった彼の話が言い終るのを待たずして、
ヒロと呼ばれた少年は救いなしと判断したか、問答無用で弁明中の彼を蹴り上げた。
蹴り上げられて少し宙に浮いた身体を追いかけるように、地を蹴って軽くジャンプすると、
少し傾いた重心と身体の捻りを活かして右足を引き抜き、
それは容赦なく遅刻者への断罪とも言わんばかりに強烈な蹴りとしてボディにお見舞いされた。
ヒュッという風を切る音の鋭さがその威力を物語る。
「ぐっふぉおおああああああ!!」
2発の蹴りをマトモに食らった彼の身体は信じられない事に吹き飛んで、
地に叩きつけられた後も慣性の法則に従ってしばらくゴロゴロと転がっていった。
そしてそれは静止するとまるで屍のように地に伏した。
「ふぅ、くだらない、待つんじゃなかったな」
「…ぐ…ぉ……ぉお、ひ、ヒロ…様ぁ……容赦ないっすね……」
沈められた哀れな屍は呻くのがやっとのようだ。
「お前は手加減しなくても死なないだろ」
「そんなぁ…ぐすっ」
死せんとする者の涙はかくも哀愁を誘うものか。
「大体、処罰するのに容赦してどうする……あ、そうだ」
ようやく起き上がろうとしたそのリビングデッドの如きターゲットに拓徒は近づいて背後をつく。
「ひとつ、質問に答えたら許してやろう」
「い、今の蹴りで終わりじゃなかったんすね……」
「いっそ死んでたら終わりだったのにな」
死って甘い香りがするよね、と怪しげに呟く彼の背後から腕を固め、首に手をかける。
「お前がここに来たとき、女子生徒がいたな? 彼女、誰だ」
「いや、走るのに必死で見ちゃいなかったよ」
「……そうか」
固めた腕を解放して離れると、彼は心底安心したように息をつく。
先ほどからつくづくついてないヤツだ。
「なになに、可愛い子に一目惚れでもしたのか?」
「貴様、やはりここで死ぬか?」
仕返しと言わんばかりにニヤついてからかってみようとするも、
深紅の瞳の鋭い睨みと暗く凍てついた一言に一瞬で凍りつく。
「ナンデモナイデス」
蛇に睨まれし蛙。
こういうところがなければ、痛い目に合わずに済んだだろうに。
毎度の事ながら学習の気配がない。
きっと未来永劫何一つ変わらずにこういうやりとりをし続けるんだろう。
それが彼ら流の日常だから。
「はぁ、少し気になることがあっただけだ」
そうため息をつくと、ようやく学校への道のりに歩を進めだした。
予定より30分オーバー。
歩いて遅刻、走ってギリギリ、死ぬ気で走っていつも通り。
もちろん彼らは走った。
あれだけ蹴り飛ばされても走れる人間がいるというのも普通は驚きなのだが、
やはりこれも彼らの日常だった。
(確かに可愛かったと言えば可愛かったけどさ)
その呟きは誰にも届く事はなかった。


俺らが住むこの地はパンゲア・ウルティマ大陸と呼ばれた、
大陸群同士が近辺に寄り添う形で形成された超大陸の中央やや北寄りに位置する、
アタランティア地方の首都ミディア。
パンゲア・ウルティマ大陸は輪を描くように海峡を所々作りながら連なっていて、
東側の海峡の地殻が大きく開いた事によってそこが海とつながり、
現在では大陸中央は殆ど海と同化している。
そのため、現在のこの大陸は三日月形のようであるとも言われる。
アタランティアはその中央の海に隣接した形になっている。
そのため海流と偏風の影響で四季によって気候がよく変わる傾向にある。
そしてそのアタランティアの首都ミディアは、
かつて創世神がこの世界を創造した時の始点であったことから、
創世神ミディアの名がつけられたらしい。
ここには国際的な主要機関がいくつか設置されている。
とりわけ目玉なのは技術統制機構。
水月瞭[ミヅキ・リョウ]、水月昴[ミヅキ・スバル]、水月沙夜霞[ミヅキ・サヤカ]、
氷河為暁[ヒカワ・サダアキ]、森誠二[モリ・セイジ]といった誰もが知っている様な、
天才的とまで謳われた学者らが残した絶大な技術が、
かつてのような過ちによって取り返しのつかない災いとならないよう、
研究者のみではなく学際的な見地から一般人も極力参加できる形で整えられた、
いわば技術革新の最高諮問機関だ。
技術そのものに課せられたシヴィリアンコントロールだと言っていいだろう。
初代長官は水月昴博士。
この機関の提唱者本人だ。
現在、謎の失踪によって行方不明らしいが。
ともかくも、俺らの世界は絶大な技術とその活用法の厳重な諮問により、
以前では考えられないほどの技術革新に成功した。
このミディアの街を一目見るだけでも、その有様が何よりも説得力のある実例になるだろう。
都市ミディアは開拓当時から綿密な計画に沿って築かれた。
まず都市中心部に主要機関を内設するための巨大タワーを建設。
高度は対流圏内の自由大気圏にまで手が届くほどの高さを誇ると言われており、
時には雲を間近で見ることが出来たりする。
都市のすぐ傍に広がるテシス海も一望できる。
このタワーはセントラルタワーと名づけられ、場所は勿論、役割も中心的な存在となった。
そのミディアで最も高いセントラルタワーを中心として、
環を描くようにして高層ビルディングが立ち並び、
それぞれが連結する事によってビルディング間の移動が内部で完結することもできるようになっている。
若干複雑化した構造を把握しやすくするため、ミディアの街は区域ごとに区分されている。
円形の街をディスクになぞらえて、セクターとトラックで区画を表すこともあるほど、
はっきりした区画分けが出来るのもミディアが開発当初から計算し尽くされていたためである。
また、高いビルディングによって三次元的な空間を意識した都市ミディアの構造は、
空中に新たな土台を作るにまで至った。
空中に浮かぶその土台はプレートと呼ばれ、
その上には新たな建設物や公園といった屋外施設を充実させるのに一役買っている。
とりわけ海によって入り組んだ陸地に居住を迫られた関係上、
ミディアは土地の確保に問題を抱えていたのだ。
限界のある地表を補うのに海の埋め立てだけではなく、空中にその活路を見出した。
浮遊力の確保にはこの街のシンボルともいえる、
磁気浮上技術(Magnetic Levitation)が活躍する。
この街のビルディングや街中いたるところにある磁気浮上用タワーには、
対応する対象である磁力客体(Magnetic Client)にのみ
限定的に働きかける類の強力な磁場を形成する装置(磁力主体:Magnetic Server)が備え付けられていて、
このシステムを利用して多くの乗り物やプレートは浮力を得ている。
技術革新以前の移動手段は基本的に車輪による推力に殆ど頼っていたらしいが、
マグネティックレヴィテーション技術の導入により、パワーや正確さ、
コントロールの容易さ、スピードは飛躍的に向上した。
また、固形燃料を使用しないため静音性に優れ、環境にも優しい。
故障に関しても、磁力客体が制御力をアクシデント的に失ったとしても
磁力主体がコントロールすることでフォローできるようになっているため安全性が保障されている。
磁力主体はいくつも点在しているために1つや2つ壊れたぐらいでは影響は出ない。
国営団体が常時管理に当たっているので磁力主体における故障はそもそも極めて少ないのだが。
ちなみに、セントラルタワーはミディアにおいて最も巨大な磁力主体でもある。
また、セントラルタワーにはMagnetic Levitation Control Center(通称MLCC)という
管制塔の役割を担った機関も存在しているため、
万が一緊急事態が発生した場合も臨機応変に対応することができるようになっている。
強力な磁場の展開といっても、宇宙天体が発生させる磁場等とは種類が異なるため
方位磁石が使えなくなるなどといったことも起こらない。
電磁力において次元位相に相違がある場合、別の電磁波には干渉しないという発見を元に
マグネティックレヴィテーション技術を大成させたのが、水月昴博士であるというわけだ。
この街のシンボルとなっている技術は彼の研究によって支えられていると言っていいだろう。
もう一つのシンボルは主に物資輸送に使われている量子テレポーテーション技術。
物質をほぼタイムロスなく一瞬で転送する技術だ。
理論自体はずっと以前から確立していたようだが、
目に見えるほどの質量を持った物質を転送できるようにしたのは
水月沙夜霞博士の研究のおかげだった。
物資輸送程度にしか使われていないのは技術統制機構のストップがかかったせいだ。
タイムロスなく遥か彼方へ移動できるということは時間の壁を突破する事に等しい。
アインシュタイン博士による特殊相対性理論によれば、
光速で移動することができるとしたら、
移動している存在は移動していない存在よりも時間の進行が遅延するとしていて、
結果光速移動している存在は、移動していない存在の未来へ訪れることができてしまう上に、
ワームホールを併用することで過去へ遡れる可能性も一部では指摘されている。
時間移動は概念的に世界秩序を大きく乱す可能性があるとして、
量子テレポーテーションの使用は技術統制機構により大きく制限をかけられたのだ。
それでも物資の輸送のスピードやコストは大きく改善され、
巨大物の転送にはとりわけなくてはならない存在となっている。

俺たちの学校があるのは、北部外郭からコアエリアへ向かってビルディングを2つ程度南東方向へ経由した、
セクターβのトラックAとBのあたりを占領している巨大ビルディング。
技術革新の中枢になっているミディア総合科学研究区域(通称、臨海研究所)に遅れをとらない規模だ。
そもそも俺たちが通う聖代学院という名の学校は中-高-大一貫制の国立学校で、
臨海研究所とセットで運営されているため、
設備を始めとしてカリキュラムに至るまで非常に手の行き届いたスタイルになっている。
理工学系と医療の方面ではとりわけ世界的に有名である。
もちろん文学系列やスポーツ科、芸術科の類にも押し並べて充実した学校ではあるため、
規模がとてつもなく大きく生徒・職員共に募集人員も多くはあるが競争率は決して低くない。
技術革新都市ミディアの威信が表れた教育機関といえる。
また、どうやら聖代学院という学校は歴史もそこそこにあるらしく、
現在の現役生が生まれるずっと以前から存在していたと言う。
歴史があるとはいえ施設は絶えず新しい状態を維持しているため、見た目は真新しささえ感じる。
校舎のエントランスへなだれ込むタイムリミットギリギリの集団に紛れて俺達も強引に滑り込む。
ちなみにタイムリミットに間に合わなかった場合は
生徒指導室へ迂回しなければ教室へ辿り着けないように、
クラスルーム棟へ向かうための通路
(生徒達の間ではヘブンズゲートなんて大層な呼ばれ方をしている)が封鎖される。
もちろん、間に合わず生徒指導室へ向かえばそこにはコワモテの生徒指導部長が仁王立ちしている。
ただではすまないだろう。
故に、この時間の生徒達はかなり必死だ。
裏を返せば、流れに乗れば奇跡的に助かる事もある。
人の意地とは実にパワフルなものである。
もっとも流れに乗れなければ踏み台にされるのは間違いない。
下手をすると生徒指導室行きの方がまだマシかもしれない事態にまで発展しかねないため、
高リスク高リターンといえるだろう。
「やばっ、足を掬われた! お、おい、ヒロ、助けろ!」
先ほど断罪した遅刻男(名を叉鴇桂介[サトキ・ケイスケ]という)は
怒涛の如き人の流れの中で致命傷とも言える脚部のコントロールに失敗したらしく、
著しく減速した。
「知るか、自力でなんとかしろ」
もちろん、それに構って自分が踏み台にされるのは御免だ。
スルーして前から唐突に現れる犠牲者の屍
(実はこれこそが足を持っていかれる最大の罠でもあるのだ)を見切り、踏み越えて先へ進む。
「お、おい、待てって、何だその薄情な背中は! ってあぁ、やめっ、いて、いて、いてぇ!
バカ踏むな! ぐああぁぁぁああ、のぁぁあああああああ!」
断末魔が背後から木霊する。
終わったな。
Rex Tremendae……あぁ、かの者に神のご慈悲があらんことを。

カシャッという音と共に開いた教室の自動ドアを抜けて自分の席につく。
荷物の殆どは予め家のトランスポーターに突っ込んでおいたのでボタン一つでいつでも引き出せる。
あぁ、文明の利器とは斯くも素晴らしきものかは。
「お、ヒロ、今日は珍しくギリギリやんか」
俺がやってきたのを見つけて一人の男子生徒が近づいてきた。
奴は名を小林怜示(コバヤシ・レイジ)という。
さっぱりとしたストレートショートの茶髪と剽軽な態度、
軽快な関西弁の訛りが強いアイデンティティを持っている。
明るめでいつも愛嬌を忘れない彼はクラスのムードメーカーと言っていいだろう。
気難しい人間とも上手く付き合える器用な奴だ。
頭脳も比較的明晰で運動神経も悪くない。
つまりモテるのだ。
厄介なのはモテるのは女にだけではないところだ。
裏でどれだけ愚痴を聞かされたことだろう。
「桂介の馬鹿が寝坊しやがったせいだ」
「それを待ってるんがレアやんか。お前なら勝手に先行ってまうやろ」
そう苦笑する怜示の言うことももっともだ。
そもそも俺自身何故やつを何十分も待っていたのかよくわからないでいるのだ。
「今度からそうするよ」
「って、そういや問題のケースケはどこにいるん?」
「あいつなら天上人になりそこねた。今頃ボロボロの身体で懇切丁寧に指導されてるはずだ」
それとなく生徒指導室があるであろう方へ目を向ける。
今日も犠牲者達の断末魔を皮切りに我が校の一日は始まる。
「あっちゃー、ジハードリタイアしたんかいなぁ」
そもそも後数分余裕を持って行動すればいいだけの話を、
聖戦だのヘブンズゲートだの、大層なことだ。
まぁ、そういうなんでもない馬鹿な話を笑い飛ばして過ごしていけるのも
また学生の特権ではあるがね。
「よくヒロは無事やったな。天才様にゃーお遊びみたいなもんか?」
「誰が天才だ」
「お前やお前! 試験の成績、評定から普段の素振りや運動神経まで
隙無さ過ぎてお前に勝てる奴なんておらへんやんか。ええ加減自覚したらどないやっ」
人前で人の事指さしながら恥ずかしいことを大声で言うなっつの。
「別に俺は何をしたわけでもないぞ。お前だって成績優秀者だろ」
「明らかに次元違てるもん比べるんはナンセンスや!」
一通り叫び散らした後、怜示はため息をついた。
忙しい奴だ。
しかしまぁ奴が言うように、近場には張り合えるものというか、
本気で打ち勝ちたいと思えるような対象がなかなか見つからないのも事実だった。
俺が近頃怠惰的に日々を過ごしているのもそれが原因と言える。
唯一どうしても勝てる気がしないのは両親ぐらいだった。
そういう俺の姿は周囲から見れば天才みたいに見えるんだろう。
「あぁでも、あの人やったらお前に勝てるかも知れへんなぁ」
怜示は思い出したかのように呟くと少しニヤつく。
「ウワサの10組の天才女子、水月理紗[ミヅキ・リサ]」
数字がもっとも高いクラスは特進コースになるのでカリキュラムが他のクラスと若干異なる。
俺らの学年は10組までで、9と10が特進コースになっている。
特進コースではとりわけ学歴の良い生徒が集まるようになっていて、
授業内容も圧倒的に高度なものを取り扱う。
「水月って…おい、まさか……」
「あぁ、ウワサによるとな、かの有名学者家系の系譜に組み込まれとるんやないかって話や」
それはまぁいいとして。
怜示、何故お前はそうも楽しそうにそれを語るんだ。
「いやぁ、お前と理紗ちゃんの勝負とか見てみたいなぁ、ごっつ熱いで、間違いない!」
勘弁してくれ、面倒くさい。
とはいうものの、どんな人かは気になりはするな。
「よっしゃ、ちょい一肌脱いで準備してみっか!」
「勝手に話を進めるんじゃない。俺は別に勝負したいわけでも何でもないぞ」
「まぁまぁ、そう言わんと、ちぃと俺に任せてみ! 悪いようにはせぇへんから」
奴はそう言うと止める間もなく教室から颯爽と姿を消した。
流石の行動力といったところか。
というかホームルームばっくれる気か、あいつ。
どいつもこいつも、勝手に楽しみやがって……。
それとも俺の時が止まっているのか。
いずれにせよ、今の俺には世界は目まぐるしい程に動いているように思えた。

To be continued....

――――――――――――――――――――――――

暫定Character Profile

Name:燈炎山拓徒(ヒエンザン ヒロト)
Age:15 (Birth:October,4 天秤座)
Sex:Male
Weapon:魔剣「スルトスレイヴ」-SurtSleif
    巨大な漆黒の剣。所々紅い装飾がなされている。
    世界を焼き払い、神々の黄昏(ラグナロク)を引き起こした
    スルトの遺産であると言われる。
    その剣の本当の姿とは……?
    サートスレイフとも呼ばれる。
Special Ability:????
Combat Style:持ち前の判断力と反射神経、運動能力を最大限に活かす。
       相手に隙を作らせ、その隙を逃すことなく鮮やかに一撃でしとめる。
       必勝を事とする。
Character:Pangaeaの主人公の一人。
      聖代学院高校の男子学生で、判断力・反射神経・運動能力の
      キレが群を抜いていて、一部では天才と称される。
      性格や容姿は一見母親似で、冷徹サディストに思われ、
      周囲の人間からも「怖い人」と思われる節があるが、
      実は人が望んでいる事をいち早く察することができ、
      それに応える実力を持ち合わせている。
      能力においてはむしろ母方ではなく父方の血を最も受け継いでいる。
      本気になれる物事が少ない事が彼の長年のコンプレックスであり、
      あらゆるものが面白く見える、という理紗に羨望を抱いている。
      実はかなりピアノが弾ける。

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2011/11/07 Mon. 03:37 | trackback: 0 | comment: 0edit

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