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The Spectrum of Pleiades

創作やゲームについてのアレコレをまったり更新する水月昴のつぶやき集

GENESIS phase1 part1 

スーパーお久しぶりです。
案の定というか、恐ろしいレベルの放置っぷりです、すいません。
もはや誰も見に来ていないとは思いますが、
アーカイブとしてオリジナルSSを適当に放り込んで行こうプロジェクトその1です。
まだまだ全行程の30%も終わってない代物ですが、気長にお付き合い頂けると幸いです。
っつーか書き終る気がしない^q^

Category:GENESIS

>>GENESIS [phase1 -part1-]

GENESIS -The Next Endevor-
out phase ―fragment―

カチリ。
均衡の取れたパズルがひとつひとつ剥がれていく音。
ともし火がふつふつと消えていくように、世界は徐々に光を失っていく。
無駄がなく、完璧な機能美を備えたその模型に細かい欠落が出始めた。
その穴は無作為に現れ、時とともに拡大し、
均衡を保てなくなった世界は人々の気づかぬところから
若干の差異と共に歪み始めたのである。
欠落。
それはどこから生じたのか。
世界の創世者が現れたあの日からなのか。
それとも、創世者の対を成す存在が現れたのか。
もしくは、我々の肯定してきた史実が紛い物であったのか。
人は物言わぬ創世者に問う。
我々の運命とは何なのかと。
人は模索する。
世界の真意を。

phase 1 ―夜の行方―

都内で最も人の往来が多い新宿の夜。
見渡す限り立ち並ぶ近代風デザインのビルディングの1つ。
9階建てで側面は全てガラス張りという、
周囲のビルに対抗せん勢いの近代デザインのそれの内装は、
外見に違わずすっきりした印象を与える姿をしている。
1Fはラウンジ、2Fは応接室、3Fから7Fは職員室、8Fと9Fは食堂。
普段は始終明るく、夜遅くなっても人がいるためいつでも賑わいを見せるこの建物も、
今では照明が落とされ、中よりもむしろ月明かりのある外の方が明るくなっていた。
しかしこれは人為的なものではなく、不慮の事故によるものだった。
1人の少年が7F奥からゲートを通り、エントランスへ出てくる。
ブルーの肩にかかるぐらいの長めの髪は後ろで束ねてあり、
同じくブルーの瞳はフロアの窓から新宿の夜を鋭い視線で眺めていた。
彼の目線の先にはいつものような煌々とライトが輝く新宿の町並みはなく、
ただでさえ無機質な世界であるというのに、暗黒に支配され、
より凍てついた空間が広がっていた。
「……何かおかしい」
彼は手にしていた携帯型端末を一瞥し、そうつぶやいた。
この周囲で唯一光を放つその端末のおかげで彼は若干不気味に照らされた。
新宿という街が光を失ったのはもう24時間以上前の事だった。
原因は未だに不明。
復旧のメドは立っておらず、しばらくはこの状態が続くだろうと言われている。
こうした不可解な現象は最近になって度々見受けられるようになった。
今回のような大規模なものは今までに例はないが、
小規模な不可思議現象はかなり多発している。
故障もしていないのに自動ドアが機能しなくなるといったものや、
電気を通していない電子機器が誤作動するといったものだ。
いずれもしばらくすれば正常に機能するようになるため、
人々はあまり深く追求することはなかった。
ところが今回は明らかに異質であった。
電力供給が断たれてから24時間以上も経過している。
そして何よりも恐るべき事実は夜が明けないということだった。
そう、今日1日、この街では太陽の光を見る事ができなかったのである。
少年は端末に向かって入力を始めた。
Direct Connected Messenger(DCM)と呼ばれる機能。
彼の持つ端末専用に備え付けられたいわゆるメーラーなわけだが、
これはサーバーを介さずに同機種の対象に向かって
直接P2P通信することができる特殊なもの。
電力供給の停止によってサーバーが機能していない可能性も考えられるからだ。
開発当初、このようなタイミングで使う事になろうとは思いもしなかったが。
「To:森先生
明日あたりそちらに伺おうかと思います。
用件は先生のご想像の通りでしょう。
これといった都合のよい時間帯がありましたら返信お願いします。
From:水月昴」
入力、送信が全て正常に完了するのを見届けた後、彼はその場を後にした。
校舎から人の姿が消えたせいか、
リノリウムの床を叩く足音が今日はやけに響いた気がした。

≪---------------------------------------------≫

この暗黒の支配は次第に新宿を中心として都内各地にまで広まっていた。
現在電気が使われているのは独自の発電設備を持った
病院、研究所などの巨大施設のみである。
住民は各地の発電設備のある主要施設に一時集められていて、
かなり規制はかけられたものの、交通機関も若干動いている。
少年、水月昴[ミヅキ スバル]は念のため自宅の状態を見に帰宅した。
おそらく無人で他の住宅と同じように暗黒に支配されていると思っていた昴は、
我が家の状態に唖然とした。
ここは出来たばかりの新興住宅地で、
家のみならずその周辺まで統一されたデザインにこだわった設計をしているために、
そのすっきりとした雰囲気はかえって暗く映り、
無人になると酷くうすら寒くなるほどに殺伐としていたわけだが、
彼の家のみ何故だか煌々と光を放っていたのである。
多少警戒しながらもドアの鍵を開けて玄関へ入っていった。
家は1部屋1部屋余裕のあるスペースを持った2階建ての一軒家だ。
1階はリビングキッチンと洗面所、風呂場、倉庫があり、
2階は彼本人の部屋と、同居していてほぼ妹同然の凪沙の部屋、
両親の部屋、またそれらとは別に書斎がある。
両親は名のある大学の教授とその補佐であり、
書斎には文字通り山と資料が積まれている。
忙しい身でよく家にいない事が多い。
当然、世が騒然とする事件が発生した今となっては
文字通り心を亡くすほど忙しいのだろう。
そんな二人がこの家にいるはずがない。
とすれば、倉庫の方からする物音は凪沙だろうか。
それとも……。
何故だか明かりがついて照らされた廊下を歩き、
1階の隅にある倉庫へと向かった。
扉は半開き、中にはうごめく影、がさごそと物を漁る音。
中にいる本人に悟られないよう気配を消して中を覗き込むと案の定彼女がいた。
「あ、あれぇ……確かこの辺に……」
大分長い間倉庫で物を漁っていたということを物語るかのように、
肩にかかるより少し長い鮮やかなエメラルドブルーの髪は少々乱雑に乱れていた。
それでも昴にとって見慣れたその小柄の少女の事は一目でわかった。
別にこそこそする相手でもないので今度は堂々と入って首を傾げてる彼女の背後から声をかけた。
「こんなところで何をやってるんだ?」
「へっ!?」
彼女にとって人が来るということは到底想定外だったのであろう。
背後から急に声をかけられるとその背中はびくっと震え、驚いたようにこちらを振り返った。
「お、お兄ちゃん……? いつからいたの?」
澄んだ青い瞳を丸くしてこちらに向き直った彼女の手には防災グッズ、
つまり災害時に役に立つアレコレがひとまとめにされているものがあった。
「さっき帰ってきたところさ。ちょっと家の様子を見に来ただけだったんけど、
まさか電気がついているとは思わなくてな」
彼女の名は氷河凪沙[ヒカワ ナギサ]と言い、
両親が行方知れずのため幼い頃から水月家の一員となっている。
彼女が家族同然の存在になったのは大分昔のことで、
もはや昴にとっての妹であり、彼女にとって昴は兄であった。
「あ、そのことなんだけど…うーん……」
彼女もわからない、といった風に首をかしげた。
「この家って色々役に立ちそうなもの置いてあるでしょ?
だからちょっと持ち出そうと思ったんだけど
明かりが無いから蝋燭を探すついでに配電盤開けてみたの。
全部ONになってたんだけど試しにちょっといじってみたら
ピカッと光っていきなり電気ついたんだよね」
「ふむ……」
妙な話だ。
いや、終わらない夜がやってきた時点で妙という次元を超越しているわけだが、
そういった世界にも例外があるというのもまた驚きだった。
試みに配電盤を覗いてみたが特に違和感のあるような状態ではなかった。
「ね、不思議でしょ?」
後ろからついてきた凪沙は配電盤の前で難しい顔をした兄に話しかけた。
「あぁ……まぁ、それはいいとして」
難しい顔をしていた昴はまた別の複雑な表情をして
妹の手中にある防災グッズを一瞥した。
「……そんなものうちにあったんだな」
「びっくりだよね」
水月家には両親の性格上、
何に使うのか一見ではわからないような代物まで用意されているようで、
住人である二人でも倉庫を漁ると常に新しい発見につきまとわれる。
「びっくり、ということはそれを探してたわけじゃないのか」
「うん。ほら、うちに護身用になる物があるってお父さんが話してたでしょ?」
「あぁ…それなら……」

To be continued....
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2011/10/22 Sat. 00:21 | trackback: 0 | comment: 0edit

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